中学生の勉強時間の実態はどれくらい?効率的な勉強時間の確保のためのサポート術

中学生のお子さまのいるご家庭やこれから中学生になるみなさんは、「適切な勉強時間はどれくらいなのか?」と気になることでしょう。中学生は学年や時期によって平均的な勉強時間が異なります。また、適切な勉強方法と生活リズムが成績向上に大きな影響を与えるため、効果的な時間配分が重要です。本記事では、中学生の学年別や時期別の平均勉強時間、さらに勉強の時間づくりのコツをご紹介します。

目次

中学生の学年別の平均勉強時間

ベネッセ教育総合研究所の中学2年生を対象とした「第5回学習基本調査(2015年)」によると中学2年生の1日の平均学習時間は90分とされています。

図1

ベネッセ教育総合研究所「第5回学習基本調査」より引用
5kihonchousa_datebook2015_p10-19.pdf (benesse.jp)

また、2024年に塾選が行ったアンケート調査によると中学生の学年毎の1日の勉強時間(平日)は、中学1年生で約60分、中学2年生で約1時間38分、中学3年生になると約1時間51分と回答されています。

図2

中学生の学年別の平均勉強時間(平日)

学年平均勉強時間
中学1年生約60分
中学2年生約1時間38分
中学3年生約1時間51分
「塾選調べ:中学生の勉強時間に関する調査」
学年平均勉強時間
中学1年生約60分
中学2年生約1時間38分
中学3年生約1時間51分
「塾選調べ:中学生の勉強時間に関する調査」

このように2015年と比べて2024年には、中学2年生の家庭学習時間は約10分長くなっており、2001年から中学生の家庭学習の時間は長くなりつづけていると考えられます。また、図2から学年によって平均的な勉強時間が異なることが分かります。

この記事では、各学年の望ましい勉強時間を紹介しつつ、時間を効率的に活用する方法についても解説します。それでは、学年ごとに具体的に見ていきましょう。年次が上がるにつれて、学習負担が増すことも多いです。どのように効果的に勉強時間を確保するかが鍵となります。

中学1・2年生の場合

学年ごとの平均勉強時間は、中学1年生が約60分、中学2年生は約1時間半と言われています。中学1年生や2年生という学年は、勉強時間をしっかりと確保して基礎学力をつけるための大切な期間であると同時に、「勉強習慣を身につける」という意味で非常に重要な意味を持ちます。

中学1・2年生から高校受験を意識して勉強することはあまり現実味がないため、お子さまだけでなく保護者の方も含めた多くの方が、「中学3年生になったら勉強すれば良い」と考えています。しかし、中学3年生の1学期は部活動や行事で意外と忙しく、まとまった勉強時間を設けることは困難です。

そんな中でいきなり受験勉強を始めようと思っても、なかなかスタートできません。一方で、中学1・2年生のうちに勉強習慣が身についていると、スムーズに受験勉強をスタートできるお子さまが多いです。少ない時間でも、まずは机に向かう時間を作ることをおすすめします。

中学3年生の場合

中3の1学期の勉強時間

中学3年生の1学期は中学1・2年生と同様に受験に向けた基礎固めの時期であり、勉強時間の確保が非常に重要です。前述のとおり、中学3年生のこの時期は部活動や行事で忙しく、勉強時間を設けることは簡単ではありませんが、だからといって「まだ勉強しなくてもいいか」と安心することは危険です。

なぜなら、東京都の高校入試では都立高校・私立高校問わず、中学3年生の1学期と2学期の内申点が大きく関わってくる可能性が高いからです。この時期は、

・定期テストなどで結果を出して内申点を上げるために「学校の授業内容を理解する」こと
・入試での得点力を高めるために「地に足のついた実力をつける」こと
・受験に向けて勉強習慣を身に付け「勉強することが当たり前」という状態をつくること

の3点を意識することが必要になります。1日2時間程度の勉強を心がけましょう。

中3の夏休みの勉強時間

一般的に中学3年生の夏休みは1日8時間の勉強時間を確保することが望ましいと言われています。中学3年生の夏休みは受験勉強の重要な時期であり、しっかりとした勉強時間を確保することが大切です。しかし、いきなり毎日8時間勉強することは容易ではありません。

そこで、手始めに毎日5時間勉強することを目指すとよいでしょう。部活動も引退している場合が多く、学校の授業もない時期だからこそ、最低でも学校で普段勉強している時間数と同様の勉強時間は確保することが望ましいです。基礎固めや過去問演習、弱点補強など、夏休みの勉強時間を有効に活用することで、受験対策を着実に進行させ、学校が再開した後もスムーズに勉強を続けられる備えをしましょう。

中3の2学期の勉強時間

中学3年生の2学期は、一般的に1日2時間から3時間程度が望ましいと言われています。中学3年生の2学期も、1学期と同様学校行事が多く、また内申対策と受験対策の両方をバランスよく進めなければならないことから学習内容も増えるため、効率的な時間配分が求められます。

それでも、夏休みをうまく乗り越えられていたなら、2学期の勉強に耐えられる学習習慣も身についているでしょう。ただし、確かに勉強時間は長いにこしたことはありませんが、大切なのは「量より質」です。勉強した時間数ではなく、身に付けたものの数で判断できるようになりましょう。

また、「できないこと・苦手なこと」に目を向けるのは大人でもむずかしく、人間は得てして「出来ていること・得意なこと」に注力しがちです。自分に足りているもの、足りていないものを判断し、目標に到達するために必要なことを考えて取り組みましょう。

中3の冬休みの勉強時間

中学3年生の冬休みは、夏休み同様、一般的に1日8時間勉強することが望ましいと言われています。ただし、前述の通り、大切なのは「量より質」です。保護者の方も焦る気持ちがあるかとは思いますが、お子さまの頑張りを充分に受け入れてあげてください。

また、中学3年生の冬休みは、問題演習に時間をかけることがお勧めです。ただし、応用問題を解く上で、基礎知識の抜けが原因で解けない問題があった場合は、思い切ってその分野の基礎問題を数多く解いて復習してみることも必要です。

中3の入試直前期の勉強時間

中学3年生の高校受験直前期の勉強時間は、平日で「3時間」、休日で「8時間」を目標にしましょう。この時期は、学校でも受験勉強として類似問題を解く時間を設けることもあります。この時間を利用し、より多くの問題演習に挑戦することがおすすめです。

ただし、この時期はインフルエンザや風邪など、体調を崩しやすい時期でもあります。体調管理にもしっかり気を配りましょう。勉強時間の確保も大切ですが、睡眠時間の確保なども同様に大切になってきます。

中学生の勉強時間づくりのコツ

中学生が効率よく勉強時間を確保するためには、日々の生活の中でいくつかのコツを知っておくことが重要です。この記事では、中学生が勉強時間をうまくつくるための具体的な方法を紹介します。

毎日のスケジュールを立てる

中学生にとって、1日のスケジュールと学習計画を立てて学習することはとても重要です。図3を見ると学習計画を立てて勉強しているお子さまとそうでないお子さまでは学習時間に大きな差が生じていることが分かります。

図3

ベネッセ総合研究所『「データで考える子どもの世界」第2回』より引用
データで考える子どもの世界│[データ集]第2回 学習時間について考えるデータ集│ベネッセ教育総合研究所 (benesse.jp)

また、図4から成績上位のお子さまほど「同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」や「決まった時間に勉強する」と答えたお子さまの割合が多いことも見てとれます。

図4

ベネッセ総合研究所「子どもの生活リズムと健康・学習習慣に関する調査 2021」より抜粋
seikatsu_gakusyu2021.pdf (benesse.jp)

このように、1日のスケジュールの中に勉強時間を組み込み、計画を立てて学習しているお子さまが結果を残しやすい傾向にあります。加えて、図5から見てとれるように、2015年時点で「ほとんど毎日家庭学習をする」と答えている中学生は全体の約40%にのぼります。毎日のスケジュールを立てて学習習慣を身に付けることは非常に大切であることがわかります。

図5

ベネッセ総合研究所『「データで考える子どもの世界」第2回』より引用
5kihonchousa_datebook2015_p10-19.pdf (benesse.jp)

勉強する場所と時間を決める

勉強する場所を決めることは、集中力を高め、効率的な学習をするために重要です。なぜなら人間の脳は無意識のうちに場所と行動をセットで記憶するからです。何らかの行動を継続しようと思えば、一つの行動は一つの場所で行うことでその行動を継続できる確率が高くなります。例えば塾の自習室など、特定の場所を勉強する場所として決めて、決まった時間に学習することで学習の質を向上させることができるでしょう。

勉強時間の最低ラインを決める

勉強時間の最低ラインを決めることは、学習の継続性と効果を保つために重要です。最低限の勉強時間を確保することで、習慣化が進み、計画的に学習を進めることができるからです。限られた時間でも効率的な勉強が可能となります。

「毎日1時間勉強する」と強く誓っても、この毎日1時間という勉強時間を、いきなり1年間続けられるお子さまは少ないでしょう。こうした目標は、普通の中学生にとってはハードルが高すぎる可能性があります。とはいえ、毎日勉強することはトータルの勉強時間を増やす上では非常に大切ですし、学習効果としても高くなります 。

そこで「1日5分勉強する」とか「1日3問だけでも問題を解く」や「まずは机に座る」など勉強の最低ラインを思い切り低く設定するのも一つの方法です。最低ラインを低く設定することで、毎日継続しやすい状況が生まれ、少しずつ学習習慣が身につく可能性が高くなります。そのかわり、その最低ラインだけは必ず守るようにしましょう。

生活リズムを整える

生活リズムを整えることは勉強の質を向上させるために重要です。規則正しい生活は体調管理をしやすくし、集中力を高める効果があります。これにより、学習効率が上がります。前述のとおり、成績上位層では、「同じ時間に起き」「決まった時間に食事を摂り」「決まった時間に勉強をする」お子さまの割合が高いです。

塾を利用して、時間をうまく使おう!

塾のテキストは高校受験の問題を研究して作られているだけでなく、授業という限られた時間の中で生徒が必要なところだけを、しっかりと理解できるように作られています。つまり、効率的に勉強ができるような工夫がなされています。無駄なく対策できるので、自由にできる時間の短い中学生でも大きな学習効果が期待できます。

子どもの勉強時間が足りていない…親はどうすればいい?

子どもの勉強時間が足りていないと感じる親御さんは多いかもしれません。この項では、そんな親御さんに向けて、どのような対応が有効かを解説します。勉強時間の確保が難しい子どもに対して、親がどのようにサポートできるかを考えてみましょう。具体的な対策やアプローチをご紹介します。

勉強時間が足りていない子どもに親がすべきこと

勉強が足りていないお子さまに対し、保護者の方がすべきことは以下の3つです。

①子どもの頑張りを認める
②勉強できる環境を整える
③気分転換の日を設ける

以下、具体的にご説明します。

1. 子どものことを知る

親から見ると「勉強時間が足りていないから頑張っていない」と見えても、お子様自身は頑張っています。この頑張りをまず認めることが大切です。そのためには、お子様と向き合う時間が必要です。そうしてさまざまな話をすることで、お子様の頑張りや良いところを見つけ出せます。
また、勉強できないことにも何か原因があるかもしれません。中学生は友人関係や学校での出来事など、悩みの要因になることが多くあります。他愛ない話の中で子どもの悩みを和らげるなど、精神面でのサポートもしてあげましょう。

2. 勉強できる環境を整える

塾や学校で勉強できるとは言え、ご家庭で勉強できる環境は必要です。近くでご家族がテレビを見ていたりゲームをしていたりすると、お子様は勉強に集中できません。ひとりで勉強できるお子さまは問題ありませんが、そうでなければ保護者の方が近くで一緒に勉強や読書などをしているだけで、お子様は一緒に頑張っている気持ちになれたりするものです。
また、勉強面だけでなく体調面でもサポートすることが必要です。適切な食事や睡眠をとれるよう、お子様をサポートしてあげましょう。

3. 気分転換の日を設ける

毎日勉強し続けると、ストレスが溜まることもあります。そんなときは、思い切って気分転換できる日を設けましょう。

勉強時間が足りていない子どもに親がすべきではないこと

勉強が足りていないお子さまに対し、保護者の方がすべきでないことは以下の3つです。

①子どもを責める
②誰かと比べる
③口出しする

以下、具体的にご説明します。

1. 子どもを責める

子どもを責めることは、親の不安を押し付けているだけで、お子様には逆効果となる場合が非常に多いです。また、勉強面だけでなく、これからの信頼関係も崩れかねません。誰しもが失敗するものです。失敗を責めるのではなく、頑張りを褒めるようにしてあげてください。
そして、同じことを次も失敗しないよう、一緒に対策を考えましょう。そうすることで、子どもはまた頑張ろうという気持ちになれます。

2. 誰かと比べる

兄弟や周りの友人に成績優秀な子がいれば、どうしても比べたくなってしまいます。しかし、ご自身のお子様とその子はまったくの別人です。お子様にはお子様の頑張り・長所があります。誰かと比べるのではなく、お子様を見てあげるようにしましょう。

3. 口出しする

中学生は自立心が芽生え始める時期ですので、あれこれ口出しするのは中学生には逆効果です。間違っていることには毅然とした態度を示した上で、お子様の考えを尊重してあげましょう。そして、お子様が助けを求めてきたときには全力でサポートしてあげてください。
ただしこのときも、最終的な判断はお子様自身で下すようにすると良いでしょう。お子さまが自主的に正しく行動できるようにサポートしてあげてください。

勉強時間に関するよくある質問

中学生の皆さんが勉強時間に関して持っている疑問や悩みはさまざまです。ここでは、そのようなよくある質問に答えていきます。学校の勉強や塾の課題、部活動や家庭の手伝いなど、日常生活における時間の管理や効率的な勉強方法に関する質問について詳しく解説していきます。

朝と夜、どっちで勉強するのが良いですか?

結論から言うと、どちらが正解という答えはありません。どちらも一長一短があるので、それぞれのメリット・デメリットや個人のリズム、生活スタイルに合った時間を選ぶことが大切です。

朝に勉強するメリット
→起床直後なので、脳が一番さえており、情報の暗記がスムーズ
朝に勉強するデメリット
→起床出来ないと勉強計画がすぐに崩れる
夜に勉強するメリット
→寝る前の勉強は、記憶が定着しやすい
夜に勉強するデメリット
→睡眠時間が削られると、翌日の集中力が低下する

上記を参考にしながら自分にとって最も適した時間を選びましょう。

受験前の平均睡眠時間はどれくらい?

平均して約8時間の睡眠時間を取ることが良いと言われていますが、まずは自分が万全の体調を維持できる睡眠時間がどれくらいなのかを知ることが大切です。
また、睡眠専門医・坪田聡氏によると、いつもは8時間眠っている人が睡眠時間を2時間削るだけで、ほろ酔いする程度のアルコールを飲んだのと同じ状態になるそうです。受験前になると焦りから睡眠時間を削って勉強をしようとする気持ちも分かりますが、適度な睡眠を心がけましょう。

【受験生応援2019】睡眠専門医・坪田聡さん 入試直前の「睡眠」のアドバイス – 東大新聞オンライン (todaishimbun.org)

まとめ

中学生の平均的な勉強時間は、学年・時期によって異なります。しかし、大切なのはお子様に日々の学習習慣を如何に身につけさせるかです。日々の生活の中に勉強の時間を作り出せるよう、ご家庭も協力しながら勉強時間を確保しましょう。


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